第1章 甘い?甘くない?……やっぱり、甘い
「」
師範に名前を呼ばれて顔を上げると、目の前に師範の綺麗な両の眼が。
「!?」
こんなに近くで師範の顔を見たことが無い。
綺麗な黄金の瞳と孔雀の羽のように濃い青緑の瞳。白く透き通るような肌。21歳の男性の肌ってこんなに綺麗なものなのだろうか。
ああ、でも冨岡様もとても綺麗な肌をされているし、師範と同じ歳だったからそんなものなのだろう。
「、いいか。一度しか言わん。」
「し……はん……?」
「俺が想っているのはお前だ。
甘露寺では無い」
………………は?
私?蜜璃ちゃんじゃない??
ちょっと思考が追いつかないんですが。
「ちゃんと、伝わっていると思っていたから、心外だった」
師範はそう言いながら私から顔を離す。
私が、おかしいのだろうか。
全く師範の気持ちに気づかず、勝手に失恋した気でいた。え、私がおかしいの?