第7章 ❀縺れ合い解け合い
涙を拭いて小芭内さんの横を通り過ぎようとした瞬間、ガッ!と二の腕を掴まれて、そのまま壁にドンッと叩きつけられた。
「うっ!」
背中に痛みが走って呻いたと同時に、
バン!と小芭内さんが私の顔の横に手を付いた。
「どういうことだ。ちゃんと話せ。
俺にはなんの事だかさっぱりだ。」
顔にビキビキと青筋を立てて本気で怒ってる。でも、私だって本気で怒ってるのだ。しり込みなんてしていられない。
キッと小芭内さんを見据える。
「私、先刻小芭内さんを町でお見かけしました。なのに、なのに…っ、小芭内さん知らない女性と抱き合ってた……!私に愛想が尽きたなら、もっと早く言ってくだされば、あんなにコソコソと逢い引きなさらずとも済んだのではないのですか!?私だって、こんな惨めな気持ちにならずに済んだかもしれないのに……っ!」
溢れ出る涙をゴシゴシと拭う。こんな悲しい気持ちになるのは、それでも私は小芭内さんの事が好きだからだ。例え、小芭内さんの心が私から離れてしまっても。