第7章 ❀縺れ合い解け合い
「何かあったのか」
夕餉後、台所で洗い物をしていると後ろから小芭内さんにそう声をかけられ、ギュッと抱きしめられた。夜にこっそり出て行こうと思っていた私は、突然声をかけられてドキッとしてしまう。
でも、黙ってたってしょうがないよね。
私から、言わなきゃ。
意を決して手を洗ってからタオルで拭いて、
小芭内さんに向き直る。
「あの、小芭内さん。……私、出ていきます」
小芭内さんの目を見れずに、目を逸らしてそう告げた。瞬間、小芭内さんから感じるのは憤り。
「どういうことだ。…他に男ができたのか」
小芭内さんがそう言った瞬間、
ムカっとしてバッと小芭内さんを睨んだ。
「他に女ができたのは小芭内さんの方でしょう!?私に愛想が尽きたのならもっと早く言ってくだされば良かったのに!っ、とにかくもう、私に構わないでください!」
言いながらじわっと涙が浮かんだ。
情けない。情けないよ…。