第7章 不協和音
『……仕方ないなぁ。徹夜でゲームするよりはマシだしね。でも、朝の七時までだからな』
≪…ッハハ、なげぇよ。そんな会話もたねぇっつうの≫
『いつもそれ以上くだらないこと喋ってんだろ』
≪ハハハ、確かに≫
それから夜通し、沖縄での出来事だとか、呪術連での出来事だとかを互いにだらだらと何時間も電話越しに話した。途中お互い話し疲れて無言になったりも何度かしたけれど、まぁなんとか朝まで起きていられた。
≪つぅかもう朝じゃん。オマエよく起きてたね≫
『アンタもね。…今日は高専戻ったらとっとと休みなよ』
≪……ん。さんきゅ≫
ぽつり、とそう言った五条は、きっと、今笑ってくれている気がした。
長い長い電話を切ってから、ぼーっとする頭を切り替えるように頬を叩く。五条と夏油も頑張っているのだ。自分も頑張らないと、と気合いを入れ直すように、なまえはよし、と小さく呟き部屋を出た。
――その日は、五条からの連絡がなかった。
何かあったのだろうか、と不安が一瞬頭を過ったけれど、あの五条と夏油の事だ。二人の辞書に、失敗の文字はない。だって、”二人は最強”だから。
その時は、そう信じて疑わなかった。
ひたすらに、信じる事しか出来なかった。
胸を擽る嫌な予感を、取り払うかのように。