第5章 眩しい光
『ねぇ、五条。この写真立てにさーー』
言いながら振り向けば、ソファの上で寝転がっている五条の姿が視界に入る。狭そうに足を丸めて、長くて白いふさふさの睫毛を伏せて。寝息が静かすぎてわからなかったけど、どうやら疲れて寝てしまったようだ。そりゃ、授業の後に夏油と喧嘩をして夜蛾にたっぷり説教をくらったあとに、街に出てこれだけ買い物をすれば疲れるよな、と思いながらなまえはそっと毛布を五条の体に掛けてやる。
人形みたいなその寝顔に、息をしているのか少し不安になって、なまえはつん、と五条の白い頬をつついた。すーと規則正しい寝息が聞こえてきて、ほっと安堵しながらその寝顔を見つめて言った。
『ありがとうね、五条』
きっと聞こえてはいないんだろうけれど。なんだかんだいって優しい彼に、心からの感謝を込めて。
「……そのままちゅーしてくれてもいーよ」
瞬間、聞こえてきた声になまえは慌てて五条から顔を離した。片目を開けて意地悪そうにそう言う五条を、思い切り睨みつけてはあ、とため息をついた。
『するわけないでしょ、ばか』
「えーいいじゃん一回だけ」
『無理!眠いならベッドで寝なよ』
「一緒に寝る?」
『寝ません!』
「つれないなぁ」
不貞腐れたようにそう言って、五条は毛布にくるまると再び瞳を閉じた。
よっぽど眠いのだろう。なまえはそんな五条をしばらく見つめてから、自身もそのまま床に寝転がった。お腹も空いたし、片付けもしたいし、お風呂も入りたいのに、なんてやらなきゃいけないことを考えていれば、いつの間にか、眠りについていた。