第5章 眩しい光
―――物を増やしたって仕方ない。呪術師なんて、いつ死んだっておかしくないのだから。明日、いや、今日死ぬかもしれない。そんな自分に、生活に必要な物以外は不要だと、そう思ってた。呪術師になると決めた時から。
だから、物は増やさないようにしようって。そうやって、生きてきたのに。
無機質だった部屋は、どんどん物で溢れていく。
『………』
「だから意地でも女子っぽい部屋にすることにした。俺が女子の部屋に来た感を味わう為に」
付け足すようにそう言った五条に、なまえは思わず吹き出した。
『ぷっ……なにそれ、ホントバカ』
「嬉しい?」
にやりと口の端をあげる五条に、なまえは思わずへにゃりと笑う。
『うん。ありがと、五条。あ、でもお金は払うよ。いくら?』
「体で払ってもらうから大丈夫」
『~~っこのセクハラ野郎!!感動を返せ!!』
ぽこぽこと五条の背中を叩けば、五条は嬉しそうに笑った。そんな五条につられて、なまえも笑顔になる。
『ていうか、この雑貨全部Franc◯rancじゃん!!テレビで見たことある!!高いんだよね!?』
「Franc◯rancのインテリアを揃えてる女子とかすげー女子っぽくない?」
『確かに。すげー女子っぽい』
「だろ?だからこれで少しはオマエも女子っぽくなるかなと」
『今でも立派な女子だろ!!』
いつものように言い合いながら、二人で紙袋の中身を開けた。どこに飾ればいいか、とか、これはこっちに置いた方がいいかな、なんて考えながら黙々と五条の買ってきてくれたインテリア用品を置いていく。無機質だった部屋は、様々なインテリア用品と、それらが入っていた袋や箱のゴミで溢れかえっていて、何故だか、不思議と心が温かった。テレビ台の横に置こうと手に取った可愛らしい写真立ては、写真が何枚もアルバム風に飾れるようになっていて、五条と夏油と硝子と撮った写真をたくさん飾りたいな、と思った。