第4章 繋ぐ日の色
「泣いてる?」
隣に来た五条はそういって、横からなまえの顔を覗き込む。
『……泣いてねぇし。ていうか馴れ馴れしく名前で呼ばないでよ。仲良いと思われたら迷惑なんだけど』
「うっわなにイライラしてんの。生理?」
『あんたほんとデリカシーないよね』
相変わらずの五条に、はぁ、とため息をつく。
このバカのおかげで悩んでいるというのに、彼と話していると、悩んでいた事がなんだかバカバカしく思えてきてしまうのだから不思議だ。
「昼何食う?あ、近所にラーメン屋できたの知ってた?すごいらしいよ、ニンニクが効いてて。てことで行こう」
『私に選択肢はないわけ?』
「ほら早く、ラーメン伸びちゃう」
『伸びるもクソもねぇだろまだ頼んでもないんだから』
ぶつぶつと文句を言いながらも、足は自然とその見慣れた大きな背中を渋々追いかける。
――これが由基さんの言う青春というものなのだろうか。想像していたものとは随分違うけれど、まぁ、これはこれで存外、悪くはないのかもしれない。
***
「オマエラーメン食べるの遅くない?」
『うるさいな、猫舌なんだよ』
「ハハ、たまには可愛いとこあんじゃん。フーフーして食べさせてあげよっか?」
『ふざけんな気持ち悪い』
「照れるなよ」
『照れてねぇよ!!』
―――やっぱり、前言撤回。
コイツがいる限り、私の青春は、やっぱりクソだ。