第4章 繋ぐ日の色
『……まぁ、楽しいんですかね。少なくとも、呪術連にいた時よりずっと』
「それが聞けてよかった。私は此処とは反りが合わないが、君ならうまくやっていけるよ」
にっと笑った九十九は、ぽんぽんとなまえの頭を優しく撫でた。
「また会いに来るよ」
『もう行くんですか?また海外ですか』
「ああ、長い旅になるな」
『たまには私も連れて行ってくださいよ』
「いつか、な」
『そうやっていつもはぐらかす』
「もう少し大人になったら連れて行ってあげるよ。約束だ」
『約束ですよ。それと、今度来るときは土産の一つでも持ってきてくださいね』
「はは、わかったよ。――早く私に追いついてこい、なまえ。強く聡い仲間と共に」
そう言って微笑んだ彼女は、バイクに乗ってあっという間に行ってしまった。相変わらず、嵐のような人だ。見えなくなるまで彼女の背中を見送っていれば、後ろで名前を呼ぶ声がした。
「―――なまえ」
聞き慣れすぎていよいよ耳にタコができそうな、腹の立つ声。振り向かずともその声の主がわかるようになってしまった自分に、なまえはますます腹が立った。