第3章 午前0時のシンデレラ
「まぁなまえ、落ち着いて。悟のゲームを壊したのか?」
後ろからなまえを抑えながら問う夏油に、なまえは瞳を潤ませながら答えた。
『悪意はないよ、ジュース取ってこいって言われたから取りに行こうと立ち上がった時に踏んじゃったんだよ!謝ったしちゃんと買い直すって言ってんのに、データがなんちゃらとかいつまでもぶつぶつ文句垂れてくるんだもん!!』
「…そうか。悟、こう言ってるんだから許してやれよ。ゲームなんてまた買いに行けばいいじゃないか」
「あれは俺が命を燃やした大事なデータが入ってるわけ。その辺に売ってるただのゲームとは違ぇの」
「いや普通に考えてディスクそのまま裸で置いとく方が悪くね?大事なモンなら人が踏むような場所に置いとくなよ」
硝子の正論に、なまえと夏油はうんうんと頷いてみせる。そんな三人に向かって、五条は憎たらしく顔を歪めながら口を開いた。
「はぁー?どう考えてもよく見て歩かない奴が悪くない?道に落ちてるウンコ踏んだらそのウンコ踏んだバカよりもウンコした奴が悪い訳?」
意味の分からない事を言いだした五条を冷めた目で見ながら、硝子はなまえの肩をぽんぽんと叩いて耳元で囁いた。
「五条はさ、ただなまえに意地悪したいだけなんだって。脳みそ小学生なんだよ、あんなクズ気にすんな」
『…なんで私こんな毎日毎日意地悪ばっかされなきゃなんないの、今日だって私が借金数千億持った状態で「たいらのまさカード」(※全員の所持金を平均化)ツモったのがムカついたのかずっと機嫌悪いしさぁ、朝まで付き合わされたんだよ!?』
罰ゲームだかなんだか知らないが、それに律儀に付き合うなまえも凄いと思う。硝子はしみじみなまえに同情しながら、わしゃわしゃとその頭を優しく撫でた。