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【呪術廻戦】廻る日の青

第1章 もしも運命があるのなら







「新入生が来るってマジ?」


都立呪術高専一年の教室で、昨日までは無かった筈の机を見ながら五条悟が言った。
決して広くはない教室に規則的に並んだ机が四つ。
昨日までは三つだった筈なのに、一つ増えているという事はそういう事だろう。


「らしいね」


五条の隣の席に座る夏油傑が答える。付け足すように、夏油の隣の席の家入硝子が続いた。


「すげー美人らしいよ」

「マジ?」

「マジ。さっき見かけたっつー先輩がでけー声で騒いでた」


季節はじとじとと湿気に塗れた梅雨。
彼ら一年生三人が呪術高専に入学してから僅か二ヶ月程だが、すっかりもうこの生活に馴染み、そして飽きていた。大凡の事をこなしてしまう所謂天才と呼ばれる粒揃いなだけあって、授業は特に面白いものでもなかった。そんな彼らの退屈を、振り払うように湧いて出た新入生の噂。クラスメイトが三人しかいない彼らにとっては、このじめじめとした湿気を吹き飛ばすくらい粋な話題だった。


「しかもここに来る前は呪術連にいたって話」

「マジかよ。実はゴリゴリマッチョだったっつーパターンは御免なんだけど」


あれやこれやと三人で盛り上がっていれば、教室の扉が開く。担任の夜蛾正道に連れられるようにして入ってきた一人の生徒に、三人は思わず目を見開いた。

透き通るような真っ白な肌に、艶やかな栗色の髪が胸元でさらり、と揺れる。
長い睫毛にびっしりと囲まれた水晶玉のような大きな瞳、すっと通った鼻筋と熟れた果実のような唇。
整ったパーツが、その小さな顔に見事に配置されている。黒づくめの制服からすらりと伸びる四肢は、陶器のように白く滑らかだ。

その可憐な容姿は、とてもじゃないけれど”呪い”を祓う”呪術師”のイメージとはあまりにかけ離れていた。


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