第17章 残響のマリオネット
『旅行じゃなくて出張だろそれ!?』
「そうとも言う」
『そうとも言う、じゃねえ。ていうか、単独での出張だったはずだ。悟には別の任務があるし、私にも別の仕事が―――』
「全部組み直した。今日のスケジュールは僕もなまえも七海の出張に同行だよ。七海に悠仁のことを頼みたくてね。なまえも旅行に行きたがってたし、こんなにナイスなタイミングをナイスガイな僕が見逃すわけにはいかないだろ?」
あっけらかんとそう言い切った五条に、なまえはぽかん、と口を開いた。
いったい、どんな無理を言い通してスケジュールを強行突破したのだろう。苦労している伊地知の顔が脳裏に浮かんで、胸が痛い。
「その顔さては惚れ直したな」
『……呆れてんだよばかやろう』