第15章 ハジメテをキミと。※番外編
―――12月7日、朝。
『……と、いうことで……結婚することになりました』
なまえは指輪の光る左手の薬指を恥ずかしそうに掲げながら、硝子に言った。
無事受理されたあの婚姻届によって、五条となまえは12月7日―――即ち五条の誕生日に晴れて夫婦となったのだ。
なまえの報告に、硝子はきょとん、と目を見開いてから、ぷっと吹き出した。
「アッハハハ、マジか五条!急に結婚とか!指輪のサイズ測る云々って言いだした時からコイツやべーなとは思ってたけど、マジで結婚したのかよ!」
『…やっぱ変?付き合ってもないのに結婚とか』
「いやー、変っつーかなんつーか」
『うん…』
不安そうななまえをじっと見つめてから、硝子はふっとほほ笑んだ。
「ま、いいんじゃん。恋愛の形なんて人それぞれだし」
『適当にまとめられた!』
「まーまー。そんなもんだって恋愛なんて。まず五条に好かれた時点でさー、普通とか一般的とか考えるのやめとけ」
『そっか。まぁ、そもそも普通の恋愛自体よくわかんないしな』
「だろ?でもさぁ、セックスの相性悪かったらどーすんの?五条が相手じゃ浮気もぜってぇできねぇよ」
『セッ!?』
急に硝子の口から出てきた言葉に、なまえは頬を赤らめながら口元を両手で抑えた。そもそも、今更五条とセックスなんて、なんか恥ずかしくて無理すぎる。そんななまえの気も知らずに、硝子はぺらぺらと続けた。
「五条もよく我慢したよなー。死ぬほど我慢してたと思うよー、アイツの青春はオナニーで終わったと言っても過言ではない。あーでもアイツセックス下手そう。絶対独りよがりの早漏だよ、激しければいいとか思ってるタイプ。いるじゃんそーゆーバカ。ぜってぇそのタイプ」
硝子の口から出てくる言葉になまえは驚きを隠せない。おどおどしながら反応に困っていれば、後ろから声がした。