第10章 きみの呪いが解けるまで
「うん、サイズもピッタリだね。硝子に感謝しなきゃ」
『硝子も知ってたの!?』
「うん。オマエが寝てる間に、指輪のサイズ測ってもらったの。俺がやろうかと思ったんだけど、さすがに寝込み侵入すんのはやめとけって言われたから硝子に頼んだ」
『全然気付かなかった…ていうかなんで悟の誕生日なのに私がもらってるんだよ!?しかもこんな高い指輪…私が断ったらどうするつもりだったの!?』
「んー考えてもなかったなぁ。高いっつっても、いつかオマエを口説いてた合コン野郎の年収くらいだよ」
『…何から何まで規格外』
「俺らしいでしょ。でもこの指輪の種類ウエディングジュエリーとしては主流じゃないらしーから、ちゃんとした結婚指輪は後日一緒に買いに行くということで許してよ」
『…許すも何も…私、こんな綺麗な指輪が似合うような女じゃないよ。…正直、悟の隣に並べる自信もない』
「ほんとバカだね、オマエ。こんな指輪なんかより、この夜景より、いつか見たパレードより、オマエのがずっと綺麗だよ」
真顔でそう言う五条に、なまえの頬が紅く染まる。
『……でも、』
「あのさ、強いとか強くないとか、そう言うの考えんなって言ったじゃん。背負う事決めたのは全部俺だから。俺がオマエの全部を背負いたかったの。オマエのその呪いみたいに縺れたぐちゃぐちゃの感情を、全部俺が綺麗サッパリ祓ってやる。なまえを幸せにできるのは俺しかいないよ?だって俺、"最強"だから。いい加減観念して」
きらきらとダイヤモンドが輝く左手の薬指。そんななまえの左手を、五条はそっと優しく繋ぐように、握った。
「―――好きだよ、なまえ。愛してる」
真っ直ぐに見つめながらそう言う五条に、なまえの瞳は大きく揺れた。
月に反射されて光る海、ネオンの光る夜景、薬指で輝くダイヤモンド。それよりもなによりも、この青い瞳が綺麗だ、と素直に思う。
この瞳に見つめられるたび、吸い込まれそうになるこの感覚が。その理由が。今になってようやくわかった。