第2章 唄柱
宇髄「良かったな!いやー寝ながら熱出した時は俺も派手に心配したんだぞ?」
『………』
なんで?なんで声が出ないの?
本当はこの人に聞かなきゃいけないことがあるんじゃないの?言うべきこともあるんでしょ?
またお兄ちゃんに歌を聞かせるんでしょ?
宇髄「それでなー……」
なんでだろう。視界がぼやける。
本当はわかっているのに、それを認めたくない
宇髄「……お前、家族は?」
『……ぁ…う……』
宇髄「……はぁ…」
「ちょっと待ってろよー」と言う声が聞こえてすぐに男は戻ってきた
宇髄「喋れねぇならこれ使え」
渡されたのはえんぴつと紐でつなげた紙の束
宇髄「お前が終わるまでちゃんと待っててやるから、焦らずゆーっくり書け」
そう言って乱暴に私の頭を撫でた。
しばらく字を書いていなかったから時間がかかった
『“私の両親は3年前に病に侵され死にました。
兄は”』
書けなかった。
いや…書きたくなかった
その事実を受け入れたくなかったから
そう思うと、私の目からは自然と涙が溢れていた