第38章 ファン1000名様突破記念 読み切り
「俺はな、お前の女選びに問題があると思うぞ」
アスマは、冷えた枝豆をいかつい手でつまんでいる。
「大人しく同業の女にしろよ。そしたらお前、少しはこの仕事にも理解を示してくれるってもんだろ」
「たしかにカカシは、一度も忍の恋人を作らないな。何か理由があるのか?」
「俺が聞きたいよ。なんで忍の女性陣は俺が眼中にないわけ?ねぇ、もしかして俺嫌われちゃってるの?」
俺に告白してくる女性達は、総じて民間人ばかりだ。異性の忍に好かれた事は一度もない。
「そりゃお前…。危ない男は、距離があってこそ魅力的に見えるんだろうよ」
「その通り!同業者の女達は、全員カカシの豪傑っぷりを目の当たりにしてるからな!」
「そういう事だ。仮に忍でお前に惚れるような奴がいたとすれば…文句無しのど変態イカレ女だな」
「人をヤバイ奴みたいに言わないで欲しいよ、まったく」
ひょんな事から、何故俺が同業者にモテないのか知ってしまったのだった。
「それにしても、今回も良い女だったのになぁ。特にケツ。勿体ねぇ」
「あ、やっぱり?俺もそれは常々」
俺とアスマが、うんうんと唸りながら頷き合う。それにしても、自分の恋人をそういう目で見られていたというのに、何の感情も湧き上がってこない。
やはり、彼女は俺にとってそれくらいの存在だったという事なのだろう。
「分かってないな、二人とも…」
ガイは、俺とアスマの趣味趣向に異議を唱える。
「女はケツじゃない!!胸だ!!」どーーん
「分かってねぇのはお前だガイ!女はケツだ!でかいケツの女はいいんだぞ!」
「んー、ケツっていうか、こう…腰から下にかけてのラインが…」
いくつになっても、こういう馬鹿な話で盛り上がれるってのは良いもんだと思う。
こいつ等といると気楽だし楽しいから、わざわざ女性と過ごしたいという考えを持てないのかもしれない。
焼いてもらったばかりの、湯気が立った焼き鳥を串から直接頂きながら。俺達の実の無い話は尽きない。
「それはそうと、お前の元カノさん。他にも色々とお喋りしてたみたいだぞ」
含みを持たせながら、アスマが言った。
「ちょっと怖いんだけど。一体何を言いふらしてたの?」