第37章 ピックアップ記念 読み切り
シ「誰かに祝いの品貰ったのか」
『そう。あ、それなんだけど…シカマル君は皆んなが言ってるお祝いの意味、知っ』
シ「そんな馬鹿みたいな金額のプレゼント。どうせ四代目からだろ」
『あはは、そうそう。ご明察』
シ「………俺は、そんなもん用意してねーけど」
シカマルは、ちょっとバツが悪そうに私に背中を向けた。そして、私に後をついてくるように言う。
シ「代わりに、良い物見せてやるよ」
しばらく二人で歩いて、やがて到着したのは鬱蒼とした森の中。
『シカマル君?ここは…』
シ「奈良一族しか立ち入る事を許されてない森」
『…それ、私入っちゃっていいの?』
シ「今日は特別。お祝いだからな」
『出た、またそれだ』
シ「この森で、秘伝の薬草とか育ててる。あとここには…」
ガサリと、背後の草むらが揺れた。そしてそこから飛び出して来たのは。
『!!』
シ「めちゃくちゃ鹿がいる」
『……っ、かっ、可愛い!!』
鹿が現れた。
ツルツルの毛並みに、凛々しく大きな角。そしてなんと言っても大きな瞳。
『目つぶら!うるうる!まつ毛長い!あっ、バンビちゃんも出て来たよシカマル君!ぅーっ背中の斑点かわいい!』
シカマルに甘えるように擦り寄る鹿。そんな彼等を優しく撫でてやっている。
『シカマル君っ!早くアレ頂戴、アレ!』
私は彼に向かって両手を差し出し、とある物を求めた。
シ「は?アレ?アレって…一体何の事だよ。さっきも言ったがな、俺は祝いの品は用意してな」
『センベイ』
シ「……は??煎餅…」
『え、まさか、無いの?嘘でしょ…』ガーン
鹿と言えばセンベイ。鹿センベイである。その常識がここでは通用しないらしい。
シ「…そ、そんなに好きか?煎餅が」
『そりゃ好きでしょうセンベイは』鹿は全員
シ「な、なんか悪りぃな。でもよ…無い。当然無い」突然の煎餅は無理
『そっか…残念だけど、しょうがないね。あ、私も鹿撫でて良い?』
シ「ん、」
『毛サラサラ…。見て見てシカマル君!着物着て鹿触ってるの、花札みたいー?』
シ「…へーへー綺麗綺麗」
『相変わらず雑だなぁ』人の扱いが