第34章 ※目撃と選択と、三人と行為と
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そろそろカカシも起きてくるかもしれないし、サスケも自主練から帰ってくるかも。
私は今日も二人の為に食事を作る。
人の為にご飯を作る事が、こんなにも幸せな気持ちにさせてくれるのを、初めて知った。
思い出すだけで、心が温かくなってしまうような人が存在する事を、初めて知った。
そんな奇跡みたいな事がこの世の中には存在する。それを教えてくれた二人が…私は大好き。
『あ、サスケ君。おかえりなさい!』
音もなく玄関の扉を開け、無事に帰宅したサスケ。いつもなら、
ただいま。と言葉を返してくれて。すぐに洗面台へ向かうはずなのだが。
今日は何故か私の元へ直行だった。
そして台所に向かう私を背中から抱きすくめる。
『サ!?サスケ、君?どうしたの…?』
しかしサスケは何も答えはしない。
『…外で、何かあった?
でもほら、私いま火を使ってるから危ないよ?』
すると彼は相変わらず何も言いはしないのだが。
私を抱く手を片手だけ外して、コンロの火を消した。
『………』
「………」
私は、無言で抱きついたままの彼の頭を撫でる。
彼の背は私より高く、しかも後ろに立っている為、頭上に手を回すのはなかなか厳しい。
しかし、サスケの為に何かをしてあげたいのだ。
『……大丈夫?何があったの?
無理にとは言わない…でも、私で良ければ何でも聞くから 言ってね』
「……じゃあ、頼みがある」
やっと口を開いてくれたサスケ。そんな彼の願いを断るはずはない。
『もちろん!』
「服、脱いでくれ」
『………はい?』
そんなの、絶対に聞き間違いだと思ったのに。
でも、これくらいでサスケ君が、悲しい顔をせずに済むのなら。
『…っ、サスケ君、そこ、くすぐった!ぁ、』
「………」
サスケは、私の服の裾を捲り上げて。
ある一点を見つめる。
「やっぱり…傷は残るんだな」
『や、触んないでっお願いだから』
サスケの願いとは、アゲハの攻撃によって出来た刺し傷を…。私の体に付いた傷を見たい。
というものだった。
すっかり塞がったそこに、サスケは優しく指を這わせる。
『んっ…、ちょ、も、本当に…』
「………」