第4章 黒いダイヤと、恋と愛と
なんだろう。
この三人を包む、優しい雰囲気は。
彼女が笑うと、部屋がこの暖かい空気に包まれた。
なんとも居心地が良くて、ずっとここにいたいと。そう思った。
しかし同時に。
酷い疎外感に苛まれた。
一人には慣れているはずなのに。
なんだ、この…俺だけの居場所がない。俺一人だけ取り残されている気分は。
『…?、イルカ先生?大丈夫ですか?』
「あ、」
そうか、俺は。
俺も、彼女と仲良くなりたいんだ。
これが、恋だとか愛だとか。そんな事は今はまだ分からないけれど。彼女を知りたい。
彼女に惹かれた。彼女ともっと一緒の時間を過ごしたい。
おそらく、それらの権利を既に手に入れているであろうサスケとカカシを、羨んでいるのだ。
自分は。
一通り客観的に自分を見る事が出来て、少し落ち着いた。
改めて彼女に向き直る。
「大丈夫です。
あの…よかったら、お言葉に甘えて俺も晩飯ご馳走になっていいですか?
貴女の手料理、食べてみたいです」
「…!」
「お」
『…もちろんです』
この人の、この柔らかい笑顔を見るのは 本日二度目…。
もっと、何回だって見たい。
これからの俺の生涯であと何度、胸が震えるようなこの笑顔を見る事が叶うだろうか。