第33章 帰郷と目論みと、光と闇と
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「ふぅん。つまりは?」
「先生。…俺は、彼女を」
もう、我慢出来なかった。
私は、彼の胸の中へとダイブした。
『っ〜〜〜〜っっ、、』
「………………ぇぇ?」
「あーもう、エリ!飛び出すのが早いよ!」
彼等の反応など、確認する余裕はない。
私はひたすら彼の胸に、自らの拳を打ち付けた。
『っ、馬鹿…っ、馬鹿!なんですか、貴方は…!
そんな風に、思ってくれているなら、どうしてもっと早く…っ、言ってくれなかったんですか!///』
「…エリ、」
カカシは、いよいよ耐え切れずに私の体を強く抱き締めた。
「ごめん、…ごめんね。俺が馬鹿だったから…。
こんなにも簡単な答えを出すのに、随分と時間かかっちゃって…
ごめん…っ」
「…残念…。カカシは、馬鹿は馬鹿だけど…
“大”馬鹿野郎ではなかったみたいだね」
カカシは私の体の震えを鎮めようとぎゅっと強く抱き寄せたまま、視線だけはミナトへ向けた。
「で、先生…説明してもらいましょうか」
「やっぱりそうなる?」
私達は、三人でソファに腰掛ける。そしてミナトの隣には、初音が直立している。
『私、ミナトさんに言われたんです。
もし話がしたいなら、はたけさんを呼び出してあげる。だからついておいでって』
そして、そのカカシを待つ間に…あの部屋で、例の陣を見せられた。
『…ミナトさんったら、私を脅かしたんですよ?
元の世界へ私を帰すって!』
「あはは、君の驚く顔が見たかったんだよ。
少しくらいいいでしょ?俺役に立ったんだから。手間賃だよ、手間賃」
全く悪びれる様子なく開き直るミナト。
『…初音さんまで、迫真の演技だったんですよ!
“ まだお済みでないならお急ぎ下さい ” とか言って!」
「恐れ入ります」
『褒めていませんよ!』
あの時は、本当に送り帰されてしまうのだと本気で覚悟した。
本気でミナトが壊れてしまったのだと心配したのに。
「先生…趣味悪いですね…嫌われますよ」
「え!?それは困るなぁ…」
「四代目様は…少々ドSなところが、おありですから」
なんだか、初音の口からそういった類の事を聞くのは新鮮である…。