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モノクローム【NARUTO】

第4章 黒いダイヤと、恋と愛と




『ま、待ってください』

今まさに、別室へ移動しようとする俺とカカシを彼女が制止した。

『イルカ先生は、私を助けてくれたんです。
その…ちょっと私が大きな声をあげてしまって。

それで、たまたま…本当にたまたま外を歩いていたイルカ先生が助けに入って来てくれたんです。だから…どうか

彼を怒らないで下さい』

「……たまたま、ね…」ふーん

「そ、そうなんですよー!!よかったです!
俺がたまたまカカシ先生の家の前を、いやほんと、たまたま散歩してて!」

三人が、たまたまと連呼する異様な空気感。

勿論、たまたまなどではない事など。カカシも分かっているはずだ。

それより彼女はどこまで分かっているのだろう。
まさか、俺がカカシの命令で家の前を見張っていた事を把握していた?

いや、まさか。
俺は一度浮かんだその案を頭の中から打ち消す。

ゴキブリ一匹、一人で処理出来ない彼女が、俺の気配を読んだり。
カカシの極秘依頼を知り得るはずがないと思ったからである。


「ま!いいでしょ。分かりました。とりあえずは納得しときます」

別にもうそんな事はどうでも良い!とにかく彼女は俺にとっての女神だ。

俺はもちろんの事、彼女もほっと胸をなで下ろしている様子。

しかし…彼は勿論 納得などしていない。

俺が家の中に入った事も。彼女が俺を助けようとしている事も。

怖い。俺を見るカカシの目が怖い。こうなったら一刻も早くここを立ち去りたい。


「あ、じゃぁ…俺はそろそろ…」

そう言って玄関へと一歩、二歩と足を
進めた時だった。


ぐぅ。


「…ご、ごめんなさい///」

誰にともなく俺は謝罪の意を述べた。

安心した途端、腹の虫が主張を始めたなど…こんなに情けない事はなかなかない。

『…ふふ、あはは。そうですよね、もう晩御飯の時間です。お腹も空きますよね』

「ずいぶんと食い意地が張ってるな」

「あはは、イルカ先生も晩御飯食べて帰って下さいよ」

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