第29章 別れと髪と、湯と理性と
「いつものカカシ先生なら、エリを置いて帰るとは思えないんだよな…」
『もしかして、怒ってたのかなぁ…』
「…怒るって、何に?」
『それはほら。
私の、魔眼の件隠してた事とか!』
「いつのまに魔眼って呼んでんだよ!」厨二か!
『私を助ける為に、体ボロボロになってたし…』
「あの人はいつも結構あんなもんだけどな。
それにアンタが寝てた丸三日、あの人もまじでずっと寝てたからな。ほぼ回復してた」
いつになく丁寧に返しをしてくれるシカマル。機嫌が良いのか、それとも私の体を気遣っての彼の優しさか…
「…悪かったな。守ってやるって、偉そうな事言ってたのに。
結局…怪我させちまって」
視線を宙に泳がせながら、申し訳なさそうに詫びる。
『そんな事…いいのに!』
「そんな事って…いや、忍でもない女の体に傷が残ったらどうすんだよ…」ったく
『じゃあその時は、シカマル君に責任とってもらおうかな』あはは
「………」
『そんなに照れないでよ!』こっちが恥ずかしい
「て、照れてねぇだろ!」
シカマルとの付き合いも少しづつ長くなってきたので、何も言わなくても彼の考えてる事が分かるようになってきたのだ。
『でも本当に…面倒くさがりのシカマル君が、ここまで私の為に助けに来てくれたんだもん。
私はもうそれだけで感謝だよ。
ありがとうね。もしシカマル君に何かあったら、今度は私が助けてあげる』
私が心から感謝の気持ちを伝えると、彼は
そんな事態に陥いる事など、考えられない。と鼻で笑うのだった。