第28章 真実と兄弟と、増悪と愛情と
「…謝罪は、無事にここを出られたら聞く。
俺も…アンタ等に言わなきゃならねぇ事もあるしな」
セツナが少し照れながら言う。
「そうだね。セツナの反抗期が終わったからといって、外に出られるようになったわけじゃないからな」
「反抗期って言うな!」
ミナトのおちゃらけた言葉に、セツナが本気で怒声を上げる。
『あ、それなら…もしかしたら大丈夫…かな?』
そう言いながら、私はシカマルの方を見る。そして彼の表情を確認した。
「なに、もしかしてシカマルが何か打開策を思い付いたの?」
カカシはシカマルを、期待の眼差しで見つめた。
「…俺じゃないっスよ。
この状況を打破出来るのは…
そこの、人質です」
人質、と称された私を、その場にいた全員が 驚きの表情で振り返る。
「…へぇ、シカマル、こんな時に冗談が言えるようになったのか」
「成長ってやつは、素晴らしいですね」
ミナトとカカシの軽口に、シカマルは眉間に深いシワを刻んでいた。
私にそんな芸当が出来るわけがない。というのが現場の総意だった。
とにかくシカマルの許可は得られたらしい。もう敵ではないセツナの前で “ これ ” を使う事。
私は早速、目の前のセツナに説明をする為に 背の高い彼と目線を合わせる。
『セツナ、少し私の』
瞳を見て。
その言葉を言い終える前に、私の体に強過ぎる衝撃が走った。
背中から、腹にかけて。
???
何が起こったのか、分からなかった。
ただ、私の身体中の全細胞が。
緊急事態だと叫んでいた。