第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
「こんばんは、お邪魔します」
珍しく、気配も消さずに。そしてインターホンをきちんと活用してミナトが来訪した。
『ミナトさん、こんばんは。もうすぐに料理出来上がるので座って待ってて下さいね』
「んー良い匂い」
私はミナトから、約束の酒を受け取ると中身を
確認する。
「珍しいでしょ?洋酒だってさ」凄い色だよね
『!ワインですね』赤…
「ワイン…そういえばそんな名前だったかも」
ワインという響きに首を傾げながら、ミナトは台所に立つ。そして、鼻をすんすんと鳴らしている。
私はてっきり、もうすぐ出来上がる料理の匂いを嗅いでいるのだと思った。しかしそれは違ったようで。
『どうせなら、赤ワインに合う一品を追加しましょうかね!せっかくですから』
「…血」
ミナトの眼光が、鋭くなる。
同時に私の心臓が跳ねる。
「血の、匂いがする。エリ…何か、あったのか?」
ミナトの問いに、ずっと答えられない私にしびれを切らしたのか。彼はゆっくりと脱衣所の方に向かって歩いていく。
脱衣所には、空き家にいた男の血がべっとりと付着した、私の服が置いてあるままだった。
どうしたものか。あの服が見つかれば、さすがに言い訳が立たない。
人に見つかる事を恐れていた彼に、よりにもよって、この里の長である火影を差し向ける結果にだけは絶対にしたくない。
『ミ、ミナトさん!』
私は彼の背中にしがみついた。
「!!」
なんとか、彼の動きは止まったが…
さて、ここからどうすれば。彼の疑惑を頭の中から消し去る事が出来ようか…。
『ぁ、え…っと、ミナトさん、ちょっと、そっちには行かない方がいいかなー…なんて』
「……ふむ、」
彼はくるりと体の向きを変えて、私の方へ向き直ると。ぎゅっと私を抱き締め返す。
『!?///』