第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
私は一度家に帰り、大量の包帯と救急箱。
それに昨夜の晩御飯の残りを持って、再び彼の元へと駆け戻った。
「……」
『もう血は止まりかけてる…。
医者に診てもらうのが間違いないだろうけど、一応止血しておく』素人の応急処置だけど
相変わらず、彼の警戒の色は消えない。私の事を心底怪しんでいるのだろう。
いや、怪しみたいのはこちらの方である。
どうして頑なに医者を拒むのか。そこまでして隠れないといけない理由があるのだろうか。
ずっと頭の隅の方で考えていた事がある。
彼は、もしかすると木ノ葉と敵対する忍なのではないかという疑念。
しかし、仮にそうだとしても。
目の前で消えそうになっている命を見捨てても良い理由にはならない。
「なんで、…俺を助ける」
相変わらず辛そうに息を吐く男。
『助けない理由の方が見つからない、けど?』
「……馬鹿じゃ、ねぇのかっ、…はっ、
もう、早く消えろよ。ブス」
『…また明日来るよ』
私は彼からそっと離れると。今度こそ家に帰るべく空き家を後にする。
玄関先には、証拠隠滅に失敗した彼の血痕の跡。私はその血を、完全に消し去った。
『ブスって言う方が、ブスなんだから…』
そして当初の予定通り、足早に帰宅の路を辿るのだった。
とりあえず、血塗れになった服を脱いでシャワーを浴びて。
手早く髪を乾かして、軽く掃除をしてから料理の仕込みに取り掛かったのだった。