第24章 エメラルドと瞬と、酒乱と酒乱と
「手痛い挨拶食らってたなぁ」
『仕方ないです。私が悪いですから…』
「…うーん。それはどういう意味で?」
ミナトが首をひねる。
「カカシが君に好意を持っている事を言っているなら、それに関して君は全く悪くない。
でも、アゲハの気持ちを考えずに。仲良くなりたいなんて思いで彼女に話しかけたなら、君が悪いかもね」
ミナトの、こういう歯に絹着せぬ物言いが 私は好きだ。
『…やっぱり、私が悪いです』
私の苦笑いとは対照的に、ミナトは明るい顔で言った。
「そっか。
あ、そうだ。本題を忘れるところだったよ。
今日夜ご飯、一緒に食べない?たしか今日もカカシとサスケいなかったよね」
彼らが共に遠征に出て、もう早いもので一週間弱が過ぎようとしている。その間、私は夜の食事は一人でとっていた。
この世界に来てから、一人で夜ご飯を食べる事はそう多くなかった。
大抵サスケかカカシのどちらかは家にいる事が多かったからだ。
ミナトは、私が寂しくないように声を掛けてくれているのだろう。
『…ありがとうございます!ぜひ。
私、腕によりを掛けて料理作りますよ』
「ん!じゃぁ決定!夜、美味い酒でも持って伺うよ」
『それは楽しみです。お待ちしてますね』
そう答えて、私は早速料理の仕込みをする為にミナトと別れた。
「……」
私は全く気が付いていなかったのだが。私とミナトの一連のやりとりを陰から見ている人物がいた。
その人物は、さきほど少しだけ会話を交わした相手。
黒蝶アゲハ、その人だった。