第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
「あーらら!完全に潰れちゃったね!」
「よしよし。じゃぁ静かーに休めるところに運んで差し上げますか」
男がエリに手を伸ばす。その腕を、俺はしっかりと掴んだ。
「「!!」」
「その必要はない。俺が運ぶ」
俺は驚く二人を一瞥して、彼女の背中と、膝の裏に、自分の腕を差し入れて持ち上げる。
「ま、待てよ!お前サスケだろ!未成年のくせに、こんなところにいちゃいけねぇな!」
「そうだぞ。彼女は俺たちが家まで送るから。お前は安心して家に帰れ」
「は?断る」
男は、俺の肩を後ろから掴んだ。
「ガ、ガキが!こっちが大人しくしてればつけあがりやがって!」
…上忍二人が相手でも。全く負ける気はしなかった。
「大体…サスケ?お前は彼女とどういう関係なんだ?」
「……」
どういう、関係…。
ただの質問なのに、まるで横っ面を殴られたような感覚だ。
分からない。どう答えればいいのか分からない。
「……」
「…な、答えられるような関係性はないんだろ。
ほらサスケ?悪い事は言わないから、後の事は俺たちに任せて。お前は家に帰」
「ふーん…。無味無臭の、アルコール吸収を促進するお薬。かな?」
「「「!!!」」」
いつのまにか、カカシが俺たちのそばに立っていた。
さきほどまでエリが飲んでいたグラスに鼻を近づけ、匂いを嗅いでそう言った。
薬…だと。
クソっ。やられた。俺が逆ナンにあっていた、あの目を離した一瞬のうちに、薬を入れられていたのだろう。