第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
その時。
「あの!お兄さんお一人?」
「さっきから一人でいるよね!めっちゃイケメンだなーと思ってさ。声かけちゃった」
「暇なら、私達と飲まない?」
勘弁してくれ。今は一瞬たりともエリから目を離したくないというのに。
二人組の女のせいで視線が遮られてしまった。
「おーい!聞こえてる?」
「お兄さんー?」
「うるさい。忙しい。消えろ」
俺は端的に伝える。すると女達は口汚く俺を罵ってから、やっと俺の前から姿を消してくれた。
それから十五分ほど時間が経過しただろうか。
さほど大きな問題は起きたいない。
しかし、エリはだいぶ酔いが回っているようだ。まだグラス一杯も空けていないというのに。もしかすると、相当酒には弱いのかも知らなかった。
しかし…
さきほどからあの男ども、ベタベタベタベタとエリの体に触りやがって。
あいつもあいつだ。どうしてもっと嫌がる素振りを見せない?理解に苦しむ。
エリが、人と触れ合っても平気な体にしてやったのは…他でもない俺なのに。
どうして他の奴に、そんなにも簡単に体に触れさせるのだ。
『……』ぼー
「せーんせ!大丈夫?」
「…酔っちゃった?」
『え…と、少し…おかしいですね…さすがに、こんらに弱いはずは…ないんですけ、ど』
さらに十分ほど経った後。ついに彼女は机に突っ伏す様な形で、完全に潰れた。
もはや腹が立つを通り越して、呆れる。どうしてこんなにも酒に弱いくせにほいほいと男についてくるのだ。
俺はため息を吐きつつ、とにかく早く彼女を回収しようと立ち上がる。