第20章 苛立ちと独占欲と、寂しさと呪縛と
と、自分では思っていたのだが。
何をやっているんだ俺は…。
『ごめんなさい!お待たせしました』
「せーんせ♡こっちこっち!」
「俺たちも今着いたとこだから」
少し離れたテーブルで、合流したばかりの三人を見つめる。
あの二人組は、やはりさきほどアカデミーの廊下を歩いていた奴らだ。
と、いうことは。おそらくこの後良くない事が起こるのだろう。しばらく見張る必要がありそうだ。
「「かんぱーい!」」
『乾杯!それにしても…急に大きな任務が舞い込んで、皆さん来れなくなってしまうなんて残念ですね…』
「そうそう!ほんと!残念だよね」
「まぁまぁ。俺たちだけで楽しもうよ」
信じるなよ!そんな見え透いた嘘…!と、思わず怒鳴ってしまいたくなる。しかしもちろん、グッと堪えた。
各々が持つグラスに目を向ける。エリが飲んでいるのは…ジュースの様な見た目だ。おそらくアルコール度数の低い酒なのだろう。
「エリ先生!お仕事の方はどう?」
「順調そうだよね。人気もあるみたいだし」
『いやいや、まだ手探り状態で…これでいいのかどうかも分からないですよ?』
ふわりと、笑うエリの顔を見て。またイラついた。どうして、こんなクソみたいな奴らにそんな笑顔を向けるのか。
どうして、今隣に座っているのが俺じゃない?
あんなふうに笑いかけられるのが、
俺では ないのだろうか。