第19章 見舞いとミスジと、鳥と休息と
ミナトにお礼の言葉を述べながら、私は三羽の伝書鳥それぞれに文を持たせる。
「三羽もいるんだ」
ベッドで大人しく横になるカカシが首を傾げる。
『はい!それぞれ、八百屋、魚屋、肉屋に飛んでいきますよ』
明日の調理実習で使う食材を、それぞれの店舗に発注するのだ。
私は鳥たちのクチバシの下あたりを指の腹で撫でる。
「へぇ。ずいぶん懐いているね」
『可愛いですよね…私、この子達に名前も付けたんですよ?』
「伝書鳥に名前付けちゃったの…」
カカシが遠い目をして呟いた。
『えっと、左から…
朱雀に、フェニックスに、鳥っぴいです』
「ネーミングセンス!!」あはは!
「俺は鳥っぴいが不憫で仕方ありませんよ」
私が合図すると、彼ら(彼女ら?)はお勤めの為 元気良く空は羽ばたいていった。
これで 明日の講義の時間までに発注した食材が、アカデミーに届くと言う寸法である。
「あー、今日も面白い物が見れた。ありがとう」
『…そうですか?』
なにやら馬鹿にされているような気もする。ミナトは会う度に、私の事を面白いと言って笑うのだ。
「じゃぁ俺はそろそろ戻らなきゃ。初音に殺されるから」
『早く戻って下さい』初音さんが不憫です
秘書?である初音に迷惑をかけてしまっては申し訳ない。一刻も早くミナトには仕事に戻ってもらわねば。
「先生、ありがとうございました」
「…いや、全然。また夜にね」
私は動けないカカシの代わりに、ミナトを玄関まで見送るのだった。