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モノクローム【NARUTO】

第19章 見舞いとミスジと、鳥と休息と




林檎の皮を剥く音が、シャリシャリと部屋に心地良く響く。

「…いいよねやっぱり。自分が弱ってる時に、こうやって隣で林檎とか剥いてくれる人がいるっていうのは。

幸せだよ。ありがとう」

『な、何言ってるんですか、はたけさん。大袈裟ですよ!』

「こんにちは、お邪魔してます」

「『!!』」

突然の訪問者に驚く。それも当然だ。

お邪魔してます。の言葉通り、彼はもうすでに部屋の中に入って来ており、ここに立っている。

『ミナトさん…』びっくりした

「…先生」呼び鈴鳴らしてよ

私とカカシが驚嘆の声で名前を呼ぶも、全く動じていないところが、なんともこの人らしい。

「いいなぁカカシは…
自分が弱ってる時に、こうやって隣で林檎とか剥いてくれる人がいるって。幸せだよね」

「それは、もう俺が言いましたよ…」

ふとカカシの姿を見ると、いつの間にやら口布が装備されていた。なんとも素早い事だ。


「カカシは今日絶対に病院にいるだろうなって思って、病院に行ったんだけどね。いなかったから…
はい。これお見舞いだよ」

「…どーも」

「肉だよ。みんなで食べてね」

『肉…っ』

「そうなんだよー。見て見て!貰い物なんだけど良い肉らしいよ?」

そう言いながら、ミナトは持参した肉を私に見せてくれる。

『こ、これは…っ。ミスジですね!』

「ミスジか。詳しくは知らないんだけどね。貰い物だから…まぁ美味しいよね?多分」

『多分なんてもんじゃないですよ…っ。
ミスジは牛一頭から三キロしか取れない希少部位ですよ!』

私はそのピンク色に輝く肉を、うっとりと見つめながら。よだれが垂れるのを我慢していた。

『肩甲骨の内側に付いているお肉で、赤身とサシのバランスが良くて、しかも柔らかいんです…

普通に買えば、百グラム八十…いや、九十両はすると思います』

「う、するど…じゃなかった!そ、そっかぁ。

っていうか、エリは相変わらず食べ物の話となると目の色が変わるよね」はは

「…先生。俺の見舞いの品というよりも、エリの為に選んだでしょ」ツボ心得てるな

「あ、バレた?」

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