第19章 見舞いとミスジと、鳥と休息と
『はい。あーんして下さい』
「あーん…」
カカシが、一人では食べられないというので食事補助を私が行なっているのだった。
『美味しいですか?』
「美味しいよ。いつも通り」
その言葉通り、カカシは朝食を全て平らげた。
『お粗末様でした。あ、林檎がありますよ?
サスケ君がインフルエンザになった時に買っておいたんです』
「え、なに、サスケ風邪引いてたの?」
『はい。ちょうどはたけさんが遠征中に』
「体調管理がなってないな…」
体調管理を怠って風邪を引くのと、ぶっ倒れる限界ギリギリまで働くのと…一体どちらが、まだしも救われるだろうか。
そんな事を考えながら台所から、林檎と果物ナイフを持ってくる。
『あ!そうなんですよ!それで実は…』
私は、先日再会した看護婦さんについてカカシに話したいと思ったのだが。
よくよく考えれば、カカシはガッツリ怪我人なのだ。私が横でベラベラ話していて体は休まるのだろうか…。
「…何か嬉しい事があった?聞きたいから、話して欲しいよ」
『!』
カカシは時折、私の心を覗いたのではないか?と思うくらいに鋭い時がある。
あまりにも、私が欲しい言葉をくれるから。
『…そうなんです。実は』
「へぇ。そっか。また会ったんだね。
あ…そういえば、勝手に記憶喪失って事にしてたんだった。ごめん。君に伝えるの忘れてたよ」
予想通り、そういう話になっていたようだ。
『いいんです。たしかにその方が自然だと思いますし。
私、あの看護師さんには記憶喪失くらいにしておかないと、辻褄が合わない質問をしてしまっているので…』
私の記憶が正しければ、たしか…木ノ葉里の名前や、通貨、忍の存在を確認した気がする。