第2章 優しい死神と、おにぎりと大根と
「君の暮らしていた所と比べて、どう?」
私とカカシは、肩を並べて街を歩く。
様々な商店が建ち並び。非常に活気がある。
『そうですね…』
初めて実際に街を見て思う。やはりここは不思議なところだ。
『うまく言えないんですけど、私が暮らしていたところに近いところもありますし。
まったく違うところもあって…』
建物に関しては、一昔前の日本を思わせる。
なので私は最初、忍というワードも合わせて江戸時代にでもタイムスリップしたのかと思ったのだが。
その考えはすぐに否定された。
なぜなら、ここには
『電気もガスもあって。コンクリートも鉄も豊富にある。でもやっぱり古めかしい感じは否めないんですよね…
なので、一番しっくりくる言葉は、近世。でしょうか』
「うーん やっぱり君の言葉を聞いている限り、単純に時を遡ってきた。ってわけじゃなさそうだよね、どーも」
『…そうだと思います。私が知る、忍者が存在する時代背景とは、ここはあまりにかけ離れていますから』
「おお?カカシ先生!今日はえらく綺麗な女性を連れてるじゃないの!」
突然、八百屋の主人が声をかけてきた。
「そーでしょ。羨ましいでしょ」
「控えめに言って、めちゃくちゃ羨ましいね!うちのかみさんと交換しない?」
「しないしない」
なにやら二人は、私について話をしているのだろうが。
今はそんな事、私の耳には一切入ってこない。私の興味は、店主の持った大根。
ただその一点だけに注がれていた。