第17章 ※熱と不在と、再会と頭突きと
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「は…、はぁ///」
苦しそうに息をするサスケ。
「これは確かに凄い高熱ね。39.2度…」
彼女は、人差し指と中指を綺麗に揃え。その二本指でサスケの額に触れた。たったそれだけで、体温計を使わずに体温を正確に測ったのだ。
『あ、あの、特殊な術にかかってるとか、何かの毒とか…では』
「今から調べる」
彼女は持ってきた鞄から、注射器を取り出してサスケの腕から血を抜き取る。
そしてその血を、なにやら怪しげな巻物に垂らした。
「…うん、大丈夫。特殊な物じゃないわ。
インフルエンザね」
『インフル…』
なんとまぁ、この時代でそんな言葉を聞くとは思わなかった。
「とりあえずすぐに薬飲ませて…
あと、貴女には予防接種打ってあげるわね」
『あ、ありがとうございます!』
私は腕を捲って彼女に差し出す。すると、慣れた手つきで液体を私の中に注入していった。
「これで大丈夫。あ、あとそれも」
彼女は私の鼻の擦り傷を指差して言った。
『色々とありがとうございました。
あと、お礼が言えてなくて失礼しました。私の事、優しく看病してくれた事…。
あの節は、本当にお世話になりました』
「いいのいいの!仕事だもの♫」
彼女は、相変わらずカラリと気持ち良く笑った。
『良かったら、お礼にお茶でも…』
「嬉しいけど、勤務中だからすぐ戻らないと」
『そうですか…』
本当に残念そうな顔をしていたのだろう。
彼女はすぐには帰らず、少し会話に付き合ってくれた。
「ところで貴女、記憶は戻ったの?」
一瞬、彼女が何を言っているのかが分からなかった。しかし、すぐに一つの仮説に思い当たる。
この世界の事を知らな過ぎる私が怪しまれないようにと、カカシがついた嘘なのではないか、と。
『……いえ、記憶は戻っていません。
でも、私いまとても、幸せです』
「…そう。良かった。
貴女変わったわ。そんなふうに笑うのね…
今日は会えて良かった」