第2章 優しい死神と、おにぎりと大根と
洗濯機を回している間に掃除だ。
電気はあるとは言ったが、残念な事に掃除機は見当たらなかった。
もともとこの世界に存在しないのか。
はたまたこの家にないだけか。
とりあえず、お茶っ葉の出涸らしを畳の上全体に撒く。
そしてそのお茶っぱを箒で掃いて一箇所にまとめる。
あとはその、まとめた出涸らしをちりとりで捨てるだけだ。
『出涸らしの適度な水分が、ゴミを吸着してくれているんだっけ…。
おばあちゃんの知恵袋だよね』
床を綺麗にした後は、各部屋を回って拭き掃除。
そうこうしていたら、忙しく回り続けていた洗濯機が私を呼んだ。
すぐさま二回目の洗濯をスタートさせ、洗えた分を干しにかかる。
一日や二日放置されただけでは、これだけの量の洗濯物は溜まらない。
洗濯をする暇がないくらい、二人とも忙しいのであろう。
それとも、男の二人暮らしという事でズボラになってしまっているだけか。
男の二人暮らし…
『そういえば…』
カカシに彼女はいないのであろうか。年頃の男性である。いてもおかしくはないと思うのだが。
優しいし、気遣いも出来る。ほぼほぼ見えないが顔だってきっと悪くはないと思う。
サスケだって、文句無しの美男子だ。女性に人気がある事は想像に容易い。
彼女がいれば、掃除や洗濯くらいはしてくれそうなものだが…。
そういった間柄の人はいないのであろうか。
仮に良い人がいるのならば、私がここにいては絶対にいけない。
これは後で聞いてみる必要がある。
そんな事を考えながら、彼等が帰ってくるのを待つのだった。