第17章 ※熱と不在と、再会と頭突きと
私は次回の講義の準備の為、机に向かってペンを取る。
しかし、なかなか思ったように捗らない。手遊びで鉛筆をクルクルと回してみる。
さきほどのサスケの言葉、態度。熱っぽい視線。そればかりが頭の中を支配する。
ふと時計を見ると、もう短針は二の位置にある。
『もう二時か…』
呟き、買い物に行く準備を始める。
今日はカカシ不在という事なので、気兼ねなくメニューは天ぷらに決定。
あんなに美味しい物を苦手だなんて。勿体ない。
いや、彼はもしかすると本当に美味しい天ぷらに出会っていないだけなのかもしれない。
今度あえて彼に振舞ってみても良いかも知らないと、そう考えるだけで口角が緩んだ。
今日の買い物リストを、頭の中に思い浮かべながら玄関に向かう。
鯛、茄子…南京に、あとトマト…
ガチャリ。と、鍵が外から開けられる音がした。
あれ?と思ったと同時に。部屋の中にサスケが入って来た。
『サスケ君?』
今日の帰宅予定時間はまだまだ後だったはず。仕事を早く切り上げて帰って来たのだろうか?
「……」
何も言葉を発さず、ぼーっと立ち尽くすサスケ。
『早かったね。お仕事終わったのかな。
あぁ、お腹空いた?お昼まだなら』
相変わらず何も話さないまま、フラフラと私との距離を詰める。
そして、両手でガッと私の両肩を掴んだ。
『!?どっ…どうしたの?サスケ君?』
このように至近距離で唐突に触れられると、さすがに少しは身構えてしまう。