第2章 優しい死神と、おにぎりと大根と
『…はぁ』
私は二人が出て行ってしばらく時間が経っても。
カカシのベットに仰向けに倒れこんだまま動けずにいた。
どうしてこうも気分が沈むか。理由はひとつしかない。
『信用されてないんだな、当然だけど…』
家の中から一歩も出るな。か
家の外に出れば、すぐにでも死に場所を探して 自殺を図るとでも思われているのだろうか。
私が昨晩、
“恩人の家の中で死ぬような真似はしない”と話してしまったから。
この家の中にさえ閉じ込めておけば死ぬ事はないと、彼は考えたのだろうか。
見ず知らずの他人に、救いの手を差し伸べて。
死なないで欲しい。と語った彼。そんな優しい人が私の近くにいる。
とりあえず すぐに死なない理由としては十分すぎるんだけどな…
しかし。自分が、そんな風に考えていると知っているのは、自分だけなのである。
『とりあえず…働こうかな』
私はやっと重い腰を上げて、家事に取り掛かる気合いを入れた!
この世界はなんだか不思議だ。
古めかしい街並みを見たときは、文明がかなり遅れたところに来てしまった。そう思ったのだが。
しかし、電気は通っているのだ。
従って、冷蔵庫や洗濯機が存在している!これはかなり嬉しい誤算だった。
病院にいた時から、電気の存在を確認はしていたのだが。
もし電気がなければ、私はきっと今頃洗濯板で洗濯していたのだろう。それは出来れば遠慮したい。