第13章 初任給と偶然と、パンツと学校と
お客さんであるイルカが、今日も料理の手伝いを申し出てくれた。
彼へのお礼の為に、晩御飯を振る舞うのに。手伝ってもらっては本末転倒の気がするのだが。
「大丈夫ですよ。気を使わないで下さい!本当に料理好きなんで」
『ありがとうございます。では、お言葉に甘えますね』
そうして、イルカと私は並んで台所に立つのだった。
「あの…俺、ずっと気になっている事があるんですよ…」
野菜を短冊に切りながら、私に囁いた。
「エリさん…カカシ先生の素顔、見た事ありますか?」こそこそ
『あぁ…ないんですよ。私も…』
「やっぱり…。さすがというか…一緒に住んでいる人にさえ見せてないんですね」
さすがはイルカだ。話している間も野菜を切る手は止まらない。
『額当てはよく外してますけど…左目は瞑ってますし…。あ、でも髪は降りてますよ。
マスクを下ろしても、ゆっくりはしませんね。いつも気がつくと食事とか終わってて…』
「そうなんですね。スッキリしました!ありがとうございます」
やはりカカシの素顔は、周りの人間から注目の的らしい。
それにしても…本人が見せたがらないのに、私はそんなに見たいと思わないけどなぁ…
「…不機嫌だな。カカシ」
「…まぁね…あれ」見てみろサスケ
「美味い!この粕汁、隠し味はなんですか?!」
『イルカ先生なら気付いてくれると思ってましたよ!これねこれね、バター入れてるんですよ』
「バター!!…なるほど!このコクはバターですか…凄い…っ」うまー
「アイツ…心得てるな。エリのツボ」ごくり
「…ね。もしかして、エリに今一番近いのは
俺でもお前でもなくて…。イルカ先生なのか…」なんたること
「お…俺は、別に。どっちでも、いいがな」
「あ、そ。なるほどね…サスケはそういうていだったね。はいはい」
「はいはいとか言うな!」