第12章 愛の鞭と、レモンと母と
「!!!!」
バッテラはカカシを見て、まるで鬼を見た時の子供のような表情で固まった。
『こ、殺されると思ってるんですかね…』可哀想
「んー?またエリに何かしたら殺すかも」
「な、な、何しに来た!!」
ギラリとカカシの右目が光る。
「何しに来たじゃないでしょ、まずはエリに謝るべきだろこら」
『あの、本当にすみませんが…はたけさんは少し静かにしててもらえますか?』話が進まない…
「………」
バッテラはカカシの圧に押されてか、黙り込んでしまった。
『あの、今日は私』
「悪かった、な。あんな目に、合わせて」
謝罪など、全く期待していなかった私だったので彼の唐突な謝罪には驚いてしまった。
『あ…いえ、それはもう、大丈夫です。
それより今日は、少し話がしたくて』
「話…?」
『バッテラさんは…どうしてお店を手伝わないんですか?
貴方が仕事を覚えて、女将さんを手伝ってあげられれば。
人を雇わなくても店はまわるんです。
何か…理由があるんじゃないですか?』
私は真っ直ぐバッテラを見つめる。
すると、彼は全く躊躇する事なく言ってのけた。
「魚嫌いだから」
私はあまりの衝撃に、思わず腰が抜けそうになる。
『う…嘘ですよね、そんな事が…あるわけ』
私はよろめきながらも、彼に問い続けた。
『嫌いって……、じゃぁ今が旬の秋刀魚も?』
「嫌いだ」
『…冬に獲れる、…アンコウは?』まさか
「無理」
『…な、夏の鮎』嘘だ
「嫌だ」
『は…はたけさん、、こ、こんな…
こんな人間が存在するんですか!』恐ろしいっ
「俺に聞かれてもねぇ…」面白い…