第12章 愛の鞭と、レモンと母と
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……やられた。
「はーい。今日はカカシ先生が急用の為
この猿飛アスマ大先生が、特別に代役を勤めまーす」
俺はくるりとアスマに背を向けると、その場をなんとか離脱しようとしたのだが。
「おいサスケェ。俺がお前ごとき逃すと思ったか?」
瞬時に肩を掴まれ、俺は逃亡を諦める。
「サスケ?お前どこ行くつもりだってばよ?任務ほったらかして」
「お前には関係ない」
今日も能天気な頭と顔のナルト。
「ミステリアスなサスケ君も素敵…」
隙があれば俺に擦り寄るサクラ。
そして本来ならここにカカシがいるはずだ。その四人で第七班なのである。
しかし今日は、奴はここには来ない。
行き先は…当然分かっている。
「おいアスマ」
「アスマ、先生…だろぉぉ?」
アスマは俺の両こめかみに拳をゴリゴリと押し付けた。
「っく、」
おそらく、というか確実に。
昨夜カカシが一時間ほど家を空けた時。
その時にアスマに今日の事を依頼したのだろう。
「アンタ…カカシの野郎に何もらったんだ。
どうせ金か物でつられたんだろ」
「…ほんとお前は生意気だな。噂以上だ。カカシの奴もこりゃ苦労するわな」
「答えろよ」
「タバコ1ダース」
「……」
あまりに…
安い。