第12章 愛の鞭と、レモンと母と
翌日の朝。
似たような時間に二人はいつも通り出掛けていった。それを見送ってから、朝ごはんの洗い物を片付ける。
そして、気合いを入れてから…
私は魚沼へ出向く為に、家を出た。
足取りは軽くは無かったが、やると決めたのだ。
自分で決めた事。必ずやり通してみせる。
一人、樹木の立ち並んだ道を歩く。
その時。ガサガサと頭上の葉が揺れた。
「やぁ」
『っわぁっ!!///』
「あっはは、君のそんなにも取り乱した表情見れるなんて。隠れて待っててよかったー」
幹に器用に足を引っ掛けて。
宙ぶらりんの状態で現れたカカシ。
こんな登場をされては、驚かない方が不可能である。
『…そ、その体勢、頭に血が上りませんか』
「ん?へいきー」
まるで子供のように、逆さ吊りのまま体を揺らすカカシ。
何だろう。この人はこんなに可愛かっただろうか。
『…ふふ。髪、葉っぱ付いてますよ』
私は、彼の逆立った銀髪に付いている葉を摘まみ上げる。
するとカカシは、手を全く使わず空中で体を回転させ見事に着地した。
『おぉっ…凄い』
「これくらいで感動するんだね、エリは。
こんなの忍だったら誰でも出来るのに」
二人で魚沼へと歩き出す。
『って、はたけさん。まさかこのまま魚沼に行くつもりですか?
お仕事はどうしたんですか!』
「あ、大丈夫だよ。
ちゃーんと代役は立てて来たからね」