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モノクローム【NARUTO】

第11章 鰹と抱擁と、仲直りと告白と




どれくらいの時間、そうしていただろうか。

広葉樹の葉が風になびく音が、心地良く耳に届く。


「…ごめん、つい力が入っちゃった。苦しかったよね。

俺…なにがっついてんだろ。格好悪い…」

熱の入った抱擁を終わらせたのは、カカシの方だった。

腕の力が緩み、二人の間に少し空間が出来る。

『いえ…大丈夫です。平気ですから』

本当に、平気だった。
体の震えもこなかったし、嫌悪感などまるでなく。それどころか彼の腕の中は心地良いとさえ感じた。


「サスケに言われたんだよ」

『え?』

急に出てきた名前に、思わず顔を上げる。すると 当たり前だがすぐ上にはカカシの顔があって。

ひどく恥ずかしくなってすぐに目線を下げる。

「俺は、エリの事になると妥協出来なくなるらしい。
それがまた、図星だったんだよね…

自分でも驚いた。今までの俺の人生なんて、妥協 妥協の連続だったから。

ま、まぁ何が言いたいかと言うと…その、冷たい態度、取ってごめんね?」

珍しく歯切れの悪いカカシの喋り方が、少し可笑しくて。可愛かった。


彼は、さきほど私が言った事をまさに遂行してくれているのだろう。

互いの気持ちを隠さず曝け出し、心と心の距離を詰める。という私の希望を叶えてくれている。

それならば私も、彼に聞いてもらいたい事がある。

『私が、悪かったんです。

はたけさんの気持ちに、無頓着過ぎて…。貴方の優しさを踏みにじってしまった。

ごめんなさい…はたけさんの為に、ミナトさんと結婚する。なんて言って。

ごめんなさい…はたけさんの為なら、死ねる。なんて言って。


貴方は…
私に、私の人生を送って欲しかったんですよね。
私が、私の為に楽しく生きて行く事を、

望んでくれていたのに』

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