第11章 鰹と抱擁と、仲直りと告白と
何故か私の部屋にはバッテラがいて。
しかも、あろうことか下着などが入っているタンスを物色していた。
そして彼のポケットからは、私のショーツが 一枚チラリと覗いていた…
いや、こんな悠長に観察している場合ではない。
どうする。逃げるか?
やめさせるよう説得?いや、気まずすぎる。
だからといって見逃すわけにも…
「エリ、火影と知り合いなんだな」
『!!』
瞬時に目の前に移動してきたバッテラ。
私の顔を覗き込むと同時に、腕を掴んで自分の方に強引に引く。
『や、ちょっとやだ!はなし』
「大きな声出すな」
『〜〜っっ!!』
嫌な過去が。
フラッシュバックする。
——大 な声出 なよ?
——お前 家族が どうな もいいのか
——大人 くしてたら、誰 傷つかな
私が受けた傷は、私の根底に深く深く根付いて。私を簡単に解き放ってはくれないんだと。
今さらながら気付いた。
「そうだ。それでいい。大人しくしてろ」
私の肩を、地面に押し付ける。
その上にバッテラは跨った。
「俺の彼女になれよ。
火影の知り合いが彼女、なんて俺も鼻が高いし。アンタは堂々と魚沼を仕切れる」
コイツの話は、既に頭に入ってきていなかった。
首筋にかかる生暖かい息が神経に障る。
体にかけられた体重が酷く重くのしかかる。
本当に、吐きそうだ。
「な?いい事尽くめだろ?エリ…」
バッテラの口元が、首筋に軽く触れる。
私の中で何かが弾けた。
そして、気が付いたら呼んでた。
『は…はたけさんっ!///』