第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
私は固唾を飲む。この人は本当に…今日、私と時間を共にした男と同一人物か?
凄い威圧感に、思わず萎縮してしまいそうになる。
しかし…
『…私に、迷いはありません。
確かに、ここは私が思い描いていた生易しい世界ではないかもしれない。
正直言って、戦争とかは…私がいた世界では遠い国の話で…他人事のような感覚でした。
だから、やっぱり少しは…怖い。です。
はたけさんやミナトさんが、里の為に人を殺すというのも…納得は出来ないけど理解は出来ます。それが、この世界の理なんですよね。
それに…私が生きたいという意志を持てたのだって、ここに来てはたけさんとサスケ君に会えたから。それは間違いないんです。
だから私はここで…
この世界で、ここの人達と生きていきたいんです!』
「…エリ」
カカシの心配そうな声。
しかし。私の、全ての思いは伝えた。
怖い事は怖いと認める他ない。嘘で塗り固めたってきっとこの人には通用しない。
なら、私の本心を聞いてもらって納得してもらうしかない。
「…うん。分かった。分かったよ。
ありがとう!ここは俺の自慢の里だから。これからの人生を、この世界で生きていくって決めてくれて、嬉しいよ」
どうやら、私の本心からの言葉は彼に届いたらしい。よかった…
彼の顔がさっきまでの朗らかな笑顔に戻ったのを見て安心する。
「そこで、だ。こっちでの君の人生、俺にくれない?」
「は?」
「エリ、俺と結婚しよう」