第9章 命の使い道と、運命とプロポーズと
『ありがとうございます』
「「!!」」
突然の礼に、目の前の二人は目を丸くしている。
『私、屋上から飛び降りた瞬間…
願った事があるんです
もし叶うのなら、優しい人たちがいる 優しい世界へ連れて行って欲しいって。
勿論、本当に叶うと思って願ったわけではありませんけど…
ミナトさんのおかげて、ここに来られて。
まだ生きていたい。って思えるようになったんです。
だから…
感謝しています。ありがとうございます…』
「…まだ生きていたい、か。
君は、もう死のうだなんて考えてないみたいだね」
『…はい!』
「そっか…ふふ。なによりだよ」
ミナトが優しく微笑んだ。
これは私のカンなのだが、ミナトが口寄せの際、自殺者 なんて物を条件にした理由は…
一人でも多くの命を救おうとしての事ではないだろうか。
もちろん単に、あっちの世界に未練が無い者を選定する為。という理由だけかもしれないが。
それでも私は
この人の、人となりを見ていてそう思ったのだ。
「さっき君は言ったね。
優しい世界に行きたいと。でもそれは、ここじゃないかもしれない。
君がこの世界の事をどれくらい理解しているのかは分からないけど。
ここには、戦争もある。俺やカカシだって山ほど人を殺した。
それでも君は…ここが優しい世界だと思う?
本当に…元の世界よりもここを選ぶのか?
元の世界に、未練はない?」