第1章 いつも
いつの間にか寝ていて、目が覚めた。
ぼやけた視界で時計を見ると、短い針は多分7を指して、長い針が30を指していた。
まだ眠い。
5分後に起きよう。
そう思って、また目を閉じた。
「起きて、」
お兄ちゃんが私を起こす声が聞こえて、目を覚ます。
5分後に起きようって思ってたけど、出来てなかった。
それに、今は7時20分。
多分最初に目を覚ました時は、6時だったんだな。と思いながら、のそのそと起き上がった。
卓袱台をみると、今日の朝ごはんはお茶漬け。
それと、卵焼きが作られていた。
ここ数日にお兄ちゃんは卵焼きを作るようになった。
お兄ちゃんには言ってないけど、私は卵が苦手。あまり好きじゃない。
それに、凄く甘く作ってるから尚更。
一緒にいただきます、って手を合わせて言う。
そんなに会話はなかった。
「食べないの?」
私の分まで作られていた卵焼きに手をつけていなかったから、お兄ちゃんが訊ねた。
『うーん....』
せっかく作ってくれてるのに、「食べない」って言ったら悪いから、曖昧に答えた。
「ご馳走様でした」
手が止まっている間にお兄ちゃんはもう食べ終わった。
「も急がないと、国木田さんに怒られるよ」
『うん』
私は卵焼きを一口食べて、そのあとお茶を飲んでご馳走様した。