第4章 ブレスレット
女医の手を借りて立ち上がった。
「どうしたンだい、浮かない顔して」
『……』
自然に視線が足元に落ちる。
「敦と一緒じゃないって珍しいじゃないか。」
なんて言えばいいのか分からない。
「敦と何かあったのかい?」
『……お兄ちゃんとじゃ、ない、です…』
「ん…?」
女医は首を傾けた。
『もう、わかんない、だって……』
なんて言えばいいのか分からない。
上手く説明が出来ない。
「いろいろ悩んでいるみたいだねェ…、場所を変えて話聞こうか?」
悩んでいるとは自分では思っていなかった。
でも太宰さんとの事を話すことなんて出来ないから、女医の話に頭を振る。
『…いえ、大丈夫です』
「そうかい、はどうする?アタシはこのまま探偵社に行くけど一緒にどうだい?」
『行き、ます…』
探偵社に戻れば太宰さんがいて気まずくなるけど、多分入水とか心中をしに行ってるかもしれないからと、女医と探偵社に戻ることにした。