第3章 身近
8時30分を過ぎてだんだん社員の人数が増えてきた。
──お兄ちゃん遅いな…
始業時間にギリギリで来るのか、それとも遅れて来るのか
自分から出ていったのに、はどうしても敦が気になった。
それでもは、仕事に集中するように専念する。
何分かすると後ろから「おはようございます!すみません、遅れました!!」と大きな声で挨拶と謝罪をするのが聞こえた。
──お兄ちゃん…!!
は声で気付いた。
正直は自分でも、敦にまだ怒っているのか、もうそんな事どうでも良くなったか分からない。
それでも、は敦に会いたいという気持ちが大きくて自棄(やけ)や、怒気の感情に勝ってしまう。
後ろを振り返って、ドアの方を見る。
そこには大好きな敦の姿。
敦の事を見ていると、バチリと目があった。
だが、目があった瞬間に逸らされた。
あれ、と不思議に思っただったが、まあいいやと深くは気にしないで仕事を再開した。