第2章 冷たい雨
『....おいしい』
一口口に含んだだけでも分かる。
塩加減が丁度いい。
「良かった」
が呟いた言葉に、着物姿の少女―鏡花は安堵した。
そしてはまた食べる。
数分すると、山盛りだったおにぎりを完食した。けどまだ空腹は満たされなかった。
それからはいつものように少し寝ようと思ったが、眠気が無くて寝ようとしなかった。
夕食はまだ早いだろうからとりあえずお風呂に入って来ようと、は風呂に入る準備をした。
風呂に入るのは1人になりたかった理由でもある。
まだ鏡花と一緒に居られない。
一緒になんて居たくない。
はそれが気が気でない。
不満を感じながら脱衣場の扉を開けると、先に敦が風呂に入ろうと準備をしていた。
に気付いた敦は「もお風呂?」と聞いてきた。
『んー....』
少し不機嫌な言い方になってしまった。
「そしたら鏡花ちゃんが一人になってしまうじゃないか」
一人にしたらいけない理由があるの?とかそんなにあの子の事が気になるの?と思ったら、どうもいい気になれずつい声を上げてしまった。
『....ふんっ。じゃあいい入んないっ』
そう言ってはガラッと強く扉を閉めた。
一緒に入る?とか聞いて欲しかったのに。
少し苛立ちながら踵を返した。