第2章 冷たい雨
自分の寮の前に突っ立ったままから、勇気を出してドアオブに手をかけると、はふぅ....と息をついた。
このまま部屋に入ると、敦がいるから少し気まずいからだ。
ずっとドアノブに手をかけていると、グイッと向こうから押される感じがした。
咄嗟に手を離してドアが開くのを待った。
ガチャと扉が開くと、目の前にいたのは敦だった。
「ちゃん!良かった。心配したんだよ?帰ってくるの遅いから、まだ探偵社にいるのかなと思って迎えに行こうとしたんだ」
なかなか入ろうとしないに敦は不思議に思った。
「あっ、雨降ってたけど大丈夫だった?寒かったでしょ、お風呂入る?」
敦はが話すのを待っていると、はぽろぽろと涙が溢れ出した。
「え、ちゃん?!どうしたの、何か嫌なことでもあった?」
敦はの肩に手を置いて、は目を閉じてあいるが目線を合わせた。
背中をさすったり、頭をよしよしと撫でたり、抱きしめてを落ち着かせようとする。
は敦の肩に顔を埋める。
『ちゃん付け、しないで....』
やっとしゃべってくれたと思ったら、泣いた理由じゃなく、少しがっかりしたが敦は素直に謝った。
「ごめんごめん」
謝ったが、多分これからも言うだろう。
偶にちゃん付けをするが、理由は特にない。
の事が愛おしい時とかに言ってしまう。
仲が良くていい事だと思うが、はそれが少し嫌らしい。
「あのさ、の好きなおにぎりがあるけど食べる?」
その言葉を聞くと、は顔を上げた。
『えっ、本当?』
「うん、を怒らせてしまったお詫びでね」
敦はの手を握り、一緒に居間に向かった。