第1章 いつも
寮に着く頃にも、まだ敦は帰って来ていなかった。
は今のうちに、と今晩の夕食の準備にとりかかった。
夕食は作り終わった。
後は待つだけ。
1時間くらい待つと、ドアが開く音がした。
─帰ってきた!
は急いで玄関の方へと向かう。
『お兄ちゃん、おかえ──』
最後まで言えなかった。
敦が誰かを連れてきている。
─あれ、この子どこかで....
は気づいた。
前探偵社に来た子だった。
とりあえず、敦とその少女は部屋に上がった。
はいまいち良く分からなく、敦に聞いた。
『お兄ちゃん、この子どうしたの?』
「うーん、ちょっとね....」
聞いてみたが、はぐらかされた。
「はもうご飯食べた?」
『一緒に食べようと思ってたから、まだ....』
「そっか、ご飯余りそうにない?」
そう敦が言って、が頷くと少女は「いい」と言った。
「えっ、ダメだよ、ちゃんと食べなきゃ」
敦がなんでこんなに優しくするのかは敦にムカッと腹を立てた。
「鏡花ちゃんの分今からでも作れる?」
敦がに聞いた。
──"鏡花ちゃん"って何?
は心の中で嫉妬する。
は『私、食べないからいい』と返した。
知らない人に妙に優しくする所には怒った。
「なんでも....」
知らない人と一緒にご飯なんか食べたくない。
そう言う思いでは言ったのだった。